リレーコラム/その4「インタープリターの活躍の場」

増田直広 キープ協会/日本インタープリテーション協会理事

インタープリターズフォーラム2018に向けた実行委員によるリレーコラムの第4回は、キープ協会/日本インタープリテーション協会のますやんこと増田直広がお送りします。
ありがたいことに、日本各地でインタープリテーションの研修に関わる機会をいただいています。各地域の自然や文化、食などの資源を調査しながら(これが楽しいのですが……)、インタープリテーションの普及に関われることは嬉しい限りです。研修の依頼をいただくこと=インタープリテーションが社会に必要とされていることの表れと言えますが、研修を修了した皆さん、つまりインタープリターはどのような場で活躍しているのでしょうか?ここで改めて考えてみたいと思います。

ここ数年関わってきた研修を大まかに分類すると以下のようになります。①自然公園や環境教育関連施設で活躍するインタープリターを養成する研修、②学校教育や幼児教育、青少年教育、地域で活躍するインタープリターを養成する研修、③観光や地域づくりの分野で活躍するインタープリターを養成する研修の3つです(これらは直接的にインタープリター養成と言わずに広い意味での指導者養成も含みます)。割合としては、①=20%、②=50%、③=30%という感じでしょうか?勿論、①~③は明確に分けられるものではなく重なりやつながりも大きいのですが、これらの数字から読むと、現在ではインタープリテーションの出発点と言える自然公園等での活躍以上に、教育分野や観光・地域づくりの分野での活躍がインタープリターには期待されていると言えそうです。あくまでも僕の関わりですので日本全体の動向ではないのですが、上記の傾向は一層進むのではないかと考えています。

まず、教育分野への関わりについては、戦後最大規模と言われている2020年の教育改革における「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)の実現、持続可能な社会の創り手となることが期待される子ども達に対して、「持続可能な社会づくりのための教育的コミュニケーション」であるインタープリテーションが貢献できることは少なくないと思います。また、現在最もニーズのある分野の1つと言える幼児期における環境教育や自然体験活動においても、インタープリターの活躍が必要です。さらに、自己肯定感や自尊感情を高め、他者を尊重する気持ちを育てる意義を持つ自然体験活動においても、インタープリテーションが果たす役割は大きいと考えます。

観光分野では、2020年に訪日外国人旅行者4,000万人を目指しているインバウンド観光や地域が主体となる着地型観光においても旅行者が訪れる地域の魅力を伝えるインタープリターやインタープリテーション的な取組みは必須と言えるでしょう。さらに、エコツーリズムやジオパークの取組みにおいても、地域創生や持続可能な地域づくりにおいても、地域の資源に基づいた教育であるインタープリテーションは、大きく貢献できると考えます。地域資源のインプット→整理・編集→アウトプット、というインタープリテーションの流れは、地域資源を活かした観光や地域づくり重なることが多いのです。

さらに近年ではコミュニケーションやプレゼンテーション能力向上のために、インタープリテーションを学びたいという声をいただくこともあります。今後、多様になるであろう社会課題への取組みのために、さらにインタープリテーションへの需要は多様になるかもしれません。それに伴い、インタープリターの活躍の場は一層幅広くなることでしょう。
そのためにも、インタープリターズフォーラム2018が多様なインタープリテーションの現状や可能性を共有する機会となること、そしてインタープリテーションの本質を学ぶ機会となることを願っています。インタープリテーションに関心を持つ多くの皆さんのご参加をお待ちしています!

と、ここまで書いてきた文章を読み返すと、何だかまじめなコラムになってしまいすみません……。もっとインタープリテーションに磨きをかけねばなりませんね。
僕のコラムはここまでにしまして、日本環境教育フォーラム理事長であり、日本インタープリテーション協会理事であり、さらにはキープ協会の環境教育事業の創設者の川嶋直さんにバトンタッチです!皆さん、お楽しみに!