インタープリターになるには

インタープリターほど素敵なシゴトはない・・
 

 インタープリターという「役割」はだれもができる?


「インタープリター」とは、職業や資格の名称というよりは、「役割」を表す言葉です。国家資格や認定制度があるわけではありません。地域のコミュニティや、プライベートな場所においてインタープリテーション的な活動(例えば、仲間を自然の中に案内したり、地域の子どもたちを集めて遠足に行ったり・・)はごく一般的に行われていることでしょう。その意味では、動機があれば、だれもがその役割を務めることができます。
ただ、インタープリターの活動はそれだけにとどまらない、広がりや奥行きを持っています。

自らの感性を媒介にし自然のメッセージを伝える・・

自然や歴史遺産などは、それぞれに意味や重要性、言わば「メッセージ」を持っています。そのメッセージを、自身の感性を媒介にし、分かりやすく伝えるのがインタープリターの役目です。人々と自然や文化との「つながり」をつくり、それらを通じて地域を、ひいては地球を愛する人とを増やしていくことが目的だということができます。環境保全や社会の持続可能性が問われる現代において、インタープリターの役割はきわめて重要になっています。

仕事としてのインタープリテーション

プロとして専業で活動するインタープリターは、日本では30年くらいまではほとんどいませんでしたが、現在は活動の場がどんどん広がっています。自然公園はもちろん、都市公園、都市型環境学習施設、ミュージアム(動物園や水族館、科学館、郷土資料館などを含む)、エコツアー事業、自然学校など、様々な分野に広がり、大勢の人が活躍するようになっています。これからも、もっと広がっていくものと考えられます。同時に質的な向上も求められています。
プロがアマチュアよりいつも優れいているという事ではありませんが、仕事として成り立たせるためには、参加者やクライアントを満足させる専門性や経験値が必要です。さらに、インタープリテーションは個人的な解説技術にとどまらず、施設や公園における来訪者との教育的なコミュニケーション全体としての側面も持っています。この面においても高度な専門性を要する分野だということができます。
現在、職業としてのインタープリターが、社会的に高い評価を得ているかというと、そうとも言えない面もあります。アルバイト的なマネージメントでインタープリテーションが行われる場合も多いのが現実です。インタープリターが職業として高度に成り立っていくためには、レベルをよりいっそう高め、専門的な仕事として社会の認知を得ていく必要があります。その意味で、現在も(過去も)、「可能性」と「課題」の両方をあわせ持つ「フロンティア」だということができるでしょう。

インタープリターになる方法

インタープリターになる、代表的なプロセスを紹介します。
・週末ボランティアとしての活動
自然公園やミュージアムなどでは、ボランティアの活動としてインタープリテーションが行われています。社会的な意義のある、このような活動に参加することで同好の仲間ができたり、それぞれの分野の知識を得ていくことができます。リタイア世代を中心に活発化しています。
・専門団体等にインタープリターとして就職する
インタープリテーションを専門にしている団体があります。このような団体では、不定期に人材の募集を行なっています。地方自治体等でもインタープリターを募集する場合があります。
また、自然資源の豊かな地域を中心に、インタープリテーションを事業に加えている大小の「自然学校」、そしてインタープリテーションを行う観光ツアーを主催している「エコツアー事業者」がたくさんあります。
このような団体や事業者のスタッフ募集情報は一元化されていませんが、インタープリターの募集情報がもっとも頻繁に流されるのは、おそらく当協会が運営しているインタープリターのためのメーリングリスト「IP-mail」です。関心のある方は参加するとよいでしょう。
IIP-mail:メーリングリスト参加ご希望の方は、a.interpreter.j@gmail.com までメールをお送りください。
件名:IP-mail参加希望
本文:お名前、ご所属、登録希望のアドレスを記述

・起業する、フリーとして活動する
「自然学校」や「エコツアー事業」は、比較的小さな規模から始めることができます。地域にそのような団体や活動がなければ、起業するのも選択の一つになるでしょう。また、フリーのインタープリターとして活動している人も大勢います。

即戦力が求められている

雇用されるにしても、起業するにしても、大切なのは実力、それからネットワークです。大きな業界ではないので、スタッフ募集は不定期で、しかもたいていは即戦力が求められます。比較的大きな団体でも、完全な公募ではなく、週末のスタッフや研修生など、すでに活動していて関わりのある人の中から採用するケースも多いのです。
これらのことから、研修プログラムや実習制度などへの参加によって、技術や経験値を高めることは、インタープリターという職業を得るための一つのステップだと考えることできるでしょう。また、当協会が共催している「つなぐ人フォーラム」などの集まりに参加し、いろいろな人のつながりをつくっていくことも大切です。

インタープリテーション協会が主催している研修会

インタープリターという仕事には、必ずしも甘くない側面があります。しかしながら、それを上回る魅力と、やりがいがあることもまた、間違いのない事実です。