リレーコラム/その2「ここがオモシロイ!」インタープリターズフォーラムのプログラム紹介

増田由香子  Officeハッピートレイル

前回のリレーコラム担当・古瀬さんからバトンタッチされたOfficeハッピートレイルの増田由香子です。古瀬さんのインタープリターズフォーラムに込めた熱い思いを受けて、私からはフォーラムの「これがオモシロイ!」のいくつかのプログラムの中から、1日目夜の「報告!日米インタープリテーション研修会@グランドキャニオン国立公園」について、ちょっとだけ内容をご紹介したいと思います。この報告、ぜひ楽しみにしていてほしいと密かに(もう密かじゃなくなりました・笑)思っているプログラム。ちなみに私は研修会の通訳を2001年から担当していまして、バージニア州にある「コロニアル国立歴史公園」やワシントン州にある「ノースカスケイド国立公園」で少しインタープリターの仕事を経験した、アメリカの国立公園が好きで仕方がない、自称「national park geek(国立公園オタク)」です。
日本インタープリテーション協会では1995年からアメリカ各地の国立公園を舞台に日米インタープリテーション研修会をおこなってきました。アメリカ国立公園局(米国内務省管轄の政府機関)とコラボレーションして継続的に行っている研修会としては多分(というか絶対に)日本で唯一の研修会です。30年以上続いている研修会ですが、毎回刺激的で新たな発見・学びがあります。同じ所に留まって満足せずに「トライ&エラー→調査改善&再トライ&エラー…」を常に行い、行政組織の枠を超えて他の行政や民間と協働することは至極あたり前というオープンで建設的な考え方がベースにあり、「お互いからいろいろと学び合う」ことを大事にしていることがとても心地良く、楽しい研修会です。
さて、今年の研修会が行われたのは世界的にも有名なグランドキャニオン国立公園でした。1979年には世界遺産にも登録、その面積は1,904平方マイル(東京ドーム10万個分!)というとてつもなく広大な場所で年間のビジター数は600万人。そのうち何と40~50%が海外からの外国人ビジターという特徴を持った公園です。近年急激に外国人観光客が増加している日本にとって、きっとヒントがたくさんあるはずということで、今回のテーマは「多様なビジター向けインタープリテーションと新たなトレンド」と題して実施しました。
グランドキャニオン、実は日米IP研修会の記念すべき第1回目の舞台でもあり、私自身15年ぶりの訪問でした。たくさんの変化の中でも一番印象にある変化は15年前には運行していなかった天然ガス燃料のシャトルバス(無料)が園内を走っていたことです。バスはたくさんのビジターが利用し、なんと年間780万回の乗車数があるとのこと。このバスを「インタープリテーション」に利用しない手はありません。

日本でもバスや電車に乗ると「まど上広告」(窓の上に横並びに広告ポスターが貼ってある)というのがありますよね?シャトルバスのまど上広告がずらりと並び、それはすごかったんです!民間の広告は一切なく、すべてが国立公園オリジナルの広告メッセージ、つまり「人を介さないインタープリテーション」が行われていました。バスの入り口付近「国立公園局の使命(ミッション)」が書かれたポスター、そしてその横にはズラッと「野生動物に食べ物を与えないで」の注意喚起ポスター、「なぜグランドキャニオンでは“水”が大切で、節水をしなければならないのか」「ハイキングのプチアドバイス」「公園内の博物館の案内」「野生動物の生態」など、さまざまな広告サイズのポスターが貼られていて、否が応でも(笑)乗車したビジターの目に触れるようになっています。観光客に公園のメッセージを伝え、自然・文化・歴史資源の保護保全の協力をしてもらうためにありとあらゆる場所にインタープリテーションの種がまかれていました。あきらめず、しつこく何度でもどこにでもメッセージを発信することは大事ですね。
このほかにもたくさんおもしろい報告をしたいと思っています。お楽しみに♪実践×研究=グッド&パワフルなインタープリテーションを今回のフォーラムで一緒に考えましょう!次回のコラムは千葉県立中央博物館の林浩二さんです。私のコラムは勝手に「インタープリターズフォーラムのプログラム紹介①」というタイトルにしていますが、林さんのタイトルは②にならない可能性大です(笑)ご了承ください。


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