■インタープリテーション全体計画とは
インタープリテーション全体計画とは、地域に存在する自然・文化・歴史などの多様な資源を的確に理解し、その価値を来訪者にどのように伝えていくかを体系的にまとめた計画のことを指します。
資源の整理、来訪者の理解支援、体験プログラムの設計、保全と活用の調整などを一つの枠組みとして整理することで、地域が目指す方向性を明確にする役割を果たします。
日本インタープリテーション協会では、国際的な動向と国内の実践知を踏まえ、地域が持つ価値を持続的に伝えるための標準的な考え方を提示しています。本計画は、自治体、事業者、ガイドなど多様な関係者が共通理解を持つための基盤として機能します。
現在の観光や環境教育の現場では、持続可能性の視点や体験価値の質がこれまで以上に重視されています。訪れる人々の関心は多様化し、地域の本質的な魅力を深く理解できる体験への需要が高まっています。
一方で、地域資源は保全と利用の両立が求められ、関係者が同じ方向性を共有して取り組む必要があります。インタープリテーション全体計画は、このような課題に対応するための効果的な手法として、国内外で導入が進んでいます。

■インタープリテーション全体計画の基本要素
インタープリテーション全体計画は、以下の主要な要素で構成されます。
● 資源評価
地域の自然・文化・歴史資源を整理し、その価値や特性を科学的・客観的に把握します。
● ターゲット設定
来訪者の属性や興味関心、学習ニーズを分析し、誰に何を伝えるかを明確にします。
● メッセージ設計
地域が共有する中心的な価値(コアメッセージ)を定め、解説・体験の方向性を統一します。
● 体験設計
ガイドプログラム、施設整備、サイン・解説媒体などがメッセージと整合するよう全体を設計します。
● 保全と利用のバランス
利用による影響評価やモニタリングを行い、持続可能な利用を支える体制を整えます。
● 管理運営体制
関係者の役割分担や連携方法、計画の更新サイクルを確立します。
■計画づくりのプロセス
インタープリテーション全体計画は、次のような段階を踏んで作成されます。
1.調査・資源把握
自然環境、文化内容、利用状況などを把握します。
2.ステークホルダー連携・参加型ワークショップの企画進行
自治体、事業者、ガイド、住民が協働して計画策定を行い、共有します。
3.メッセージと目標の設定
伝える価値と目指す成果を明確にします。
4.体験・伝達手法の設計
プログラムや解説媒体を計画し、整合性を確保します。
5.実施・評価・改善
運用状況を把握し、必要に応じて改善します。
協会は、これらのプロセス全体を通じて、計画策定を支援しています。

■期待される効果と価値
インタープリテーション全体計画の導入により、次のような効果が期待できます。
●地域資源の価値が整理され、関係者間の共有が進みます。
●来訪者の理解が深まり、満足度の高い体験が提供できます。
●ガイドやスタッフの専門性が向上し、統一感のある解説やサービスが実施できます。
●地域内の協働が促進され、持続可能な観光に寄与します。
●教育的価値が高まり、地域ブランドやシビックプライドの形成にも寄与します。
■日本インタープリテーション協会の支援
当協会では、以下のような形でインタープリテーション全体計画の策定と運用をサポートしています。
●関係者向けの説明会・学習会
●計画策定の伴走支援
●参加型ワークショップの企画、ファシリテート
●資源評価や体験設計に関する技術的助言
●スタッフ・ガイド向け研修の実施
●メッセージ設計やプログラム評価の支援
●国内外の知見に基づく改善提案
協会の専門性を活かし、地域が自立して運用できる仕組みづくりを支援いたします。
■協会および関係者が策定支援にあたった事例
これらの計画は環境省が国立公園で展開しているものと、地域独自で策定されたものとがあります
●白神山地(世界遺産)
●日光国立公園(奥日光、那須エリア、甲子エリア)
●みちのく潮風トレイル(青森〜福島)
●中部山岳国立公園(上高地)
●富士箱根国立公園(東海自然歩道)
●鳥取県江府町(奥大山エリア)
●雲仙観光局(雲仙温泉地区、国見地区、橘湾地区、有明ベイサイドエリア)
●天草市
●九州ボルケーノツーリズム
●霧島錦江湾国立公園(鹿児島)
●沖縄・やんばる国立公園
●沖縄・石垣島平久保半島
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