サム・ハム著『インタープリテーション:意図的に「違い」を生み出すガイドのためのコミュニケーション術』(山田菜緒子訳)が刊行されました

インタープリテーションの世界的第一人者であるサム・ハム氏(Sam H. Ham)のベストセラー
“Interpretation: Making a Difference on Purpose” (2013) Fulcrum Publishing が日本語に翻訳され、
『インタープリテーション―意図的に「違い」を生み出すガイドのためのコミュニケーション術―』
サム H. ハム著 / 山田菜緒子訳(山口書店)

として、刊行されました。(購入情報は最後に記載します)

訳者の山田菜緒子さん(金沢大学准教授)によれば

インタープリテーションに関する本は、英語では数多く出ているのですが、日本で出版されたものはまだ多くはありません。インタープリテーションの理論を論じたものは日本語では入手できませんでした。

そのような書籍があれば、自分のインタープリテーションがうまくいった理由や、なぜうまくいかなかったのか、どのようにするとうまくできるのか… などがきっと客観的にわかるでしょう。また、インタープリテーションを勉強したい、研究したい学生や研究者にとっても足がかりとなるはずです。

そのような英語書籍の1つに、世界的なインタープリテーションの基準を作ったSam H. Ham氏の"Interpretation-Making a Difference on Purpose"があります。すでに6ヶ国語に訳され、もうすぐ10言語にまで翻訳される予定です。その書籍が、ついに日本語でも翻訳され出版されました! 山田は稚拙ながらこの翻訳をさせていただきました。

この本の特徴は、うまくいくインタープリテーションには4つの要素があるということを、「科学的に」「エビデンスに基づいて」わかりやすく述べているということです。この4つの要素とは、テーマがある(T)、わかりやすく整理されている(O)、聞いている人に関連している(R)、楽しめる(E)を指し、TOREと呼ばれています。経験知や直感だけではなく、学術理論やデータから導き出されたインタープリテーションの理屈を知りたい、そして身につけたいという方には読んでいただきたい本です。

インタープリテーションはナゼ効果を出せるのか? インタープリテーションはナゼ他のコミュニケーションとは違うのか? インタープリテーションはナゼ必要なのか? など、疑問に思われたことはありませんか? そのようなナゼにお答えします。

と紹介されています。また日本インタープリテーション協会の「インタープリター・トレーニング・セミナー」もこの「TORE」に基づいた研修を行っています。

以下は出版社からの内容紹介と目次です。

■内容
 各地の価値ある資源の魅力を伝え、訪れた人の体験の質を高めるような、高付加価値のガイドができるようになる… そのようなスキルが「インタープリテーション」である。 自然公園・文化遺産・博物館・動植物園・水族館・展示施設などで、お客様を迎える人に必須のコミュニケーション手法として、世界各地で実践されている。本書では、その理論から実践例までを、余すところなく伝える。
 インタープリテーションがうまくいくと、その対象であるモノや場所、人、アイディアなどに対して興味が深まり、価値をわかって好きになり、望ましい行動をとるようになる。このような「違い」や成果を「意図的に」生み出すためには、テーマに基づいた(Thematic)、わかりやすいストーリー(Organized)を、受け手に関連させながら(Relevant)、楽しく(Enjoyale)、伝えなければならない。このT・O・R・E要素それぞれについて、自分のコミュニケーションに「なぜ」必要で「どのように」取り入れられるのかを、エビデンスに基づいて丁寧に紐解いていく。原著はこれまで6カ国語に訳され、この手法はインタープリテーションの世界的な指標となっている。
 ガイドやインタープリターが、インタープリテーションスキルを使うことで、自然・文化・歴史遺産が適切に活用されて、結果として遺産の保全につなげられる。インタープリテーションは、量より質を求める持続可能な観光に必要なガイドのスキルと言える。また、相手に伝えたい、わかってもらいたいことがあるときの普段のコミュニケーションにおいても、十分に活用できるスキルである。

■著者について
サム・H・ハム Sam H. Ham
元アイダホ大学(アメリカ)コミュニケーション心理学および保全社会科学教授。テーマに沿ったコミュニケーション手法を提唱し、アメリカ・カナダ全土をはじめ50か国近くで活動。その手法は、これらの国々で、さまざまなコミュニケーション分野における最良の方法だと考えられている。今では、彼の提唱するテーマに沿ったコミュニケーション原則は、文化遺産、博物館、ツアーオペレーター、動物園、植物園、水族館、国立公園、保護区で働く何千というインタープリターが日常的に用いるものとなり、世界中の政府機関や民間企業のコミュニケーション・プログラムに組み込まれている。それらは、地方自治体の持続性教育や保全教育から、ツーリズムマーケティング、慈善事業、ワイン、ビール、チョコレート、芸術のインタープリテーションにわたる。4ヶ国語に訳されたベストセラー Environmental Interpretation―A Practical Guide for People with Big Ideas and Small Budgetsなど、編著執筆した書籍・文献は400近くに及ぶ。

山田 菜緒子 やまだ なおこ
野生動物と自然の保護を目指して、農学、林学、環境科学を学び、アイダホ大学リソース・レクリエーション・ツーリズム科にてサム・H・ハム教授の元でインタープリテーションを勉強・研究する。インディアナ大学にてPh. D. 取得。自然・文化資源の保全にインタープリテーションを活用することで、世界中の美しい価値あるものを残していけるように、教育・研究・実践に従事している。アメリカ、韓国、トルコなどでツーリズム教育・研究に携わり、2023年現在は金沢大学融合研究域に所属。関心分野は資源保全コミュニケーション、ビジタースタディズ。

目 次
第1章 インタープリテーションとコミュニケーション
第2章 TORE
第3章 インタープリテーションのエンドゲーム(到達点)
第4章 すべてのインタープリテーションはなにかしらの違いを生み出せるのか?
第5章 意図的に違いを生み出す
第6章 テーマの二面性と頭に浮かぶ文章
第7章 さまざまなテーマの質
第8章 許容できる範囲
第9章 シークエンシャル(順序のある)テーマの表現
第10章 ノンシークエンシャル(順序のない)テーマの表現

発行所 株式会社山口書店
2023年6月8日 初版発行
328ページ
ISBN ‏: ‎978-4-8411-0949-8
4,400円(税込)

購入情報
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直販サイト https://interpret.theshop.jp/ (売上の一部が環境保全団体に寄付されます)
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